平家物語ー敦盛の最後ーを全訳してみる<解説編>その10

高校入試、中学校での日々の学習など、国語が苦手な人のために、「これだけは」という問題を紹介。受験対策や定期試験対策に活用して下さい。

ただいま、中間テストの分析をしています。去年までは各科目の担当講師が自分で把握しておく程度でしたが、今年度からは塾全体のシステムとして共有しようという試みがなされました。

(1)はノートから出題された
(2)は塾用テキストから出題された
(3)は学校プリントから出題された

…などなど。自分で把握しておく程度であれば問題ないのですが、文書として提出するとなると、かなりの精度が要求されます。全てのノート、プリント類のコピーを三部取ります。一つは編集用、一つは自分用、一つは塾提出用。そして、全ての問題に対して、全ての資料を突き合わせる…気の遠くなるような作業です。一つの学校の問題分析で三時間かかりました…。担当クラスの数が…いや、考えまい、考えまい。心が折れてしまう。

…ということで、平家物語の続きです。前回テスト編その2までの文章を読みました。今回からテスト編その3の文章を読んでいきます。それでは、まずは前回の復習テストから。

1)「人手」の読みと意味は?
2)「まゐらす」の読みと意味は?
3)「同じくは」の意味は?
4)「が」は何に言い換えることができるか?
5)「御孝養」の読みと意味は?
6)「つかまつり候はめ」の読みと意味は?
7)「のちの御孝養をこそつかまつり候はめ」の係助詞と結びの語は?
8)「けり」の意味は?
9)「ければ」の意味は?
10)エ段+「ば」の意味は?
11)あとに来る主語が変わる可能性が高い接続助詞を五個答えなさい
12)「ただ」の意味は?
13)「とくとく」の意味は?
14)「のたまひける」の読みと意味は?
15)「とぞのたまひける」の係助詞と結びの語は?

今までの流れも復習しておきましょう。

 熊谷が、平家の若武者の首を切ろうとした。
⇒平家の若武者は、わが子の小次郎ほどの年齢だった。
⇒助けたいとは思うが、味方(源氏)の兵が近よってきていて助けられない。
⇒しょうがないので、熊谷が自分で、平家の若武者の首を切ろうとした。

さぁ、ようやく本文です。

55)熊谷あまりにいとほしくて、
56)いづくに刀を立つべしともおぼえず、
57)目もくれ心も消え果てて、
58)前後不覚におぼえけれども、
59)さてしもあるべきことならねば、
60)泣く泣く首をぞかいてんげる。

(『平家物語』より)

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1)読み ひとで/ほかの者の手
2)読み まいらす/意味 〜申し上げる
3)同じことならば
4)の
5)読み おんきょうよう/意味 ご供養
6)読み つかまつりそうらわめ/意味 させていただきましょう
7)係助詞 こそ/結びの語 め
8)〜た(過去)
9)〜たところ
10)〜と/〜ところ/〜ので
11)を/に/が/ど/ば
12)とにかく
13)さっさと
14)読み のたまいける/意味 おっしゃった
15)係助詞 ぞ/結びの語 ける

それでは本文の解説です。ゴールはもう少しです。

55)熊谷あまりにいとほしくて、

■熊谷(は)あまりにいとほしくて…と「は」が省略されています。
■いとほし=読み いとおし/意味 かわいそうだ

訳)熊谷はあまりにかわいそうで、

56)いづくに刀を立つべしともおぼえず、

■いづく=読み いずく/意味 どこ
■べし=〜するのが良い(当然)
■おぼゆ=思われる

訳)どこに刀を刺したらよいかもわからず、

57)目もくれ心も消え果てて、

※これは特に説明するようなところはありません。訳を丸覚えしておきましょう

訳)(涙で)目もくらみ気も動転して、

58)前後不覚おぼえけれども、

■前後不覚=読み ぜんごふかく/意味 前後がわからない
■おぼゆ=思われる
■けり=〜た(過去)

訳)前後もわからないように思われけれども、

59)さてしもあるべきことならねば

■べし=〜するのが良い(当然)
■ね=〜ない(打ち消し)
打ち消しの助動詞「ず」は活用すると次のように変わります。覚えておきましょう。

打ち消し=ず・ぬ・ね・ざら・ざり・ざる・ざれ

■ならねば=〜ではないので
 ※エ段+「ば」⇒〜と/〜ところ/〜ので

ここで接続助詞「ば」が使われていますが、必ずしも主語が変わるというわけではありません。その辺りは注意しておきましょう。

訳)そうばかりもしていられないので

60)泣く泣く首をかいてんげる

■ぞ=係助詞(強意) 結びの語は「げる」
■かいてんげる=「かきてける(=切った)」が音便化(おんびんか)したもの
 ※回転ゲル? 回転蹴り? なぞだと思います。これは文法的にどう解釈していいのかわからず、アンチョコに頼りました。『文法全解 平家物語』(旺文社 杉田黎明著)には次のように書かれています。

かいてんげる 「かきてける」のイ音便ならびに撥音の変化とそれに伴っての濁音化

中学生は別にこんなもの、知らなくても良いでしょう。で、なぜ「かきてける」のままにしておかなかったのか、ボクなりに想像してみました。おそらく、以下の理由からでしょう。

『平家物語』は琵琶法師によって「語られた」ものである。
…ということは、「音」が重要となってくる。
しかも、この部分は「首を切る」という場面。見せ場のひとつであり、力の入る部分でもある。したがって、音便化や濁音化がされた。

…まぁ、そんなことはどうでもいいことでしょうが。

訳)泣く泣く首を切ってしまった

とうとう熊谷は平家の若武者の首を切ってしまいました。これからどうなるのでしょうか。
それでは、最後にまとめテストをやっておきましょう。

1)「いとほし」の読みと意味は?
2)「いづく」の読みと意味は?
3)「べし」の意味は?
4)「おぼゆ」の意味は?
5)「前後不覚」の意味は?
6)「けり」の意味は?
7)打ち消しの助動詞「ず」が活用したものをすべて答えなさい
8)エ段+「ば」の意味は?
9)「首をぞかいてんげる」の係助詞と結びの語を答えなさい


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2012.06.12 09:43 | [中学古典を全訳してみる]平家物語 | トラックバック(-) | コメント(0) |
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