中学国語の名作を読む 走れメロス<読編>15

高校入試、中学校での日々の学習など、国語が苦手な人のために、「これだけは」という問題を紹介。受験対策や定期試験対策に活用して下さい。

ぼちぼちと進んでいるこのシリーズです。おそらくシリーズ最長となった中学古典を全訳してみるー平家物語ーに迫る…もしくは追い越す勢いの記事数になるかも。

…というわけで、まずは前回までの疑問を確認しておきましょう。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか


そして、前回の復習。どんな内容でしたでしょうか? 思い出してみて下さい。

雨のせいで橋が壊れてしまい、メロスは川を渡れない。

という状況でしたね。そして立ち往生していると。そこで生まれた疑問が、

果たして、メロスはどうするのか?

というもの。それでは、本文を読んでいきましょう。今まで通り、積極的に、疑問をもって、音読を二回ほどしてください。

 濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽《あお》り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻《か》きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍《れんびん》を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。

(太宰治『走れメロス』より)

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 濁流は、メロスの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽《あお》り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く

主語と述語の部分だけを取り出してみました。それで、十分書かれている内容はつかめると思います。青字にしているのは、マイナス(=悪い)イメージのことばだからです。

なんでしょうか、この躍動感。たったこれだけの文字が、川がどれほど氾濫しているかを目に浮かばせます。実はこのあたりの文章は、塾用問題集でも定期テストでも取り上げられない部分です。問題にしづらいという原因があるのでしょう。とはいうものの、この文の力強さというのはたまらないものがあります。

そうした力強さを裏付けているひとつが、ある表現技法です。

濁流はー踊り狂う

ここで使われている表現技法はわかるでしょうか?

…そうですね。人ではないものを人にたとえる、「擬人法」ですね。擬人法に関しては、サザエさんの歌でおなじみです。

♪みんなが笑ってる〜 お日さまも笑ってる〜

という部分ですね。赤字部分で、人ではないものを人にたとえていますね。

まわり道が過ぎました。続きにいきましょう。

果たして、メロスはどうするのでしょうか?

今はメロスも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。

「覚悟」というプラス(良い)イメージのことばが出るやいなや、それまでのマイナスイメージはどこへやら、さまざまなプラスイメージが生まれてきます。この「覚悟」ということばがキーワードです。

そして、先ほどの疑問の答えとしては、

メロスは、泳ぐことを決意した。

ということですね。さてさて、きっちりと泳ぎきれるのでしょうか。

メロスは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻《か》きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍《れんびん》を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。

なんとか、メロスは泳ぎきることができましたね。泳ぎきることがどれほどたいへんだったのかは、それまでの赤字の部分でわかります。

ありがたい。メロスは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た

「ほっとする」のはメロスにとって何らかのフラグなようです(笑)次なる災難(=一隊の山賊)がやってきました。さてさて、どうなることやら。

…ということで、今回は終わりにしておきましょう。それでは、今までの疑問を復習しておきましょう。とはいえ、ずっと積み残している疑問なんですが。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか


そして、最後に生まれた疑問が、

メロスは、山賊と出会ってどうなってしまうのか

ということですね。それは次回で解決されることでしょう。
では、最後に復習として音読を二度ほどしておいてください。


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2012.06.28 10:36 | [中学国語の名作を読む]走れメロス<読編> | トラックバック(-) | コメント(0) |
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