中学国語の名作を読む 走れメロス<読編>16

高校入試、中学校での日々の学習など、国語が苦手な人のために、「これだけは」という問題を紹介。受験対策や定期試験対策に活用して下さい。

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塾では、期末テスト対策がほぼ終わりました。あとは数校を残すのみ。

「脱ゆとり」をはかったのが2012年からのカリキュラム。授業で扱う分量が本当に多くなっています。教科書に掲載されている量も、実際に授業で扱う量も。中学校でも模索段階にあるのでしょうか、進みかたが結構ちがいます。来年以降は安定するのでしょうが。

さぁ、それでは走れメロスの続きを読んでいきましょう。その前に前回までの疑問の積み残しを確認しておきましょう。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか
メロスは、山賊と出会ってどうなってしまうのか


前回、なんとか川を泳ぎきったと思えば、山賊があらわれました。そこで出てきた疑問が三つ目の疑問です。では、本文にまいりましょう。いつも通り、積極的に、疑問を持って、音読を二度ほどしてください。

「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒《こんぼう》を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙《すき》に、さっさと走って峠を下った。一気に峠を駈け降りたが、流石《さすが》に疲労し、折から午後の灼熱《しゃくねつ》の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈《めまい》を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天《いだてん》、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代《きたい》の不信の人間、まさしく王の思う壺《つぼ》だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身|萎《な》えて、もはや芋虫《いもむし》ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐《ふてくさ》れた根性が、心の隅に巣喰った。

(太宰治『走れメロス』より)

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「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。

山賊は、人からものを盗んで生計を立てています。だからこそ、メロスは「自分には何もない」と説得したわけですね。けれどもうまくいかない。「もの」ではなく、「いのち」が欲しいとこの山賊は言います。そこで、メロスが出した推理が青字の部分(まぁ、事実かどうかはわかりません)。

では、メロスはどうするのでしょうか?

 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒《こんぼう》を振り挙げた。メロスはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙《すき》に、さっさと走って峠を下った。


主語と述語の主要な部分だけを色分けしています。先ほどの疑問とその答えは、

メロスはどうするのか?
⇒山賊を殴り倒して、走って峠を下った。


一気に峠を駈け降りたが、流石《さすが》に疲労し、折から午後の灼熱《しゃくねつ》の太陽がまともに、かっと照って来て、メロスは幾度となく眩暈《めまい》を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った立ち上る事が出来ぬのだ。

またやってきました「マイナスイメージのことば」。青字にしています。

この辺りのリズムのなんとすばらしいことでしょうか。「、」で細かく区切りながら、長い一文を書いて、最後にまとめる。まとめる働きをになっているのが「のだ」ということば。

のだ=前の文を説明するはたらき(まとめ/理由など)


天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天《いだてん》、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代《きたい》の不信の人間、まさしく王の思う壺《つぼ》だぞ、と自分を叱ってみるのだ、全身|萎《な》えて、もはや芋虫《いもむし》ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐《ふてくさ》れた根性が、心の隅に巣喰った。

ちょっと長いですが、まとめて読んでみましょう。
折れそうな心を奮い立たせるために、今までをふりかえってみます。

が、

「が」ということばをきっかけにマイナスイメージのことばがどんどん展開されます。そこで出てくる疑問。

メロスはこのまま前進できずに、ここで寝ころんだままなのか?

…けど、この疑問は当たり前ですし、解決されるであろうこともわかりますよね。だって、寝ころんだままだと話が終わってしまうわけですから。もう少し突っ込んだ疑問を持ってみましょう。それは…

メロスは、寝ころんだところからどうやって復帰するのか。

さぁ、それでは、積み残しの疑問を確認しておきましょう。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか
メロスは、寝ころんだところからどうやって復帰するのか


といったところですね。前回と同じく、三つ目の疑問は次回で解決されることでしょう。
いつものように、復習として音読を二回ほどしておいてください。


名優による『走れメロス』の朗読を聴きたければ⇒こちらへどうぞ。

2012.06.29 11:28 | [中学国語の名作を読む]走れメロス<読編> | トラックバック(-) | コメント(0) |
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