中学国語の名作を読む 走れメロス<読編>20

高校入試、中学校での日々の学習など、国語が苦手な人のために、「これだけは」という問題を紹介。受験対策や定期試験対策に活用して下さい。

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さぁ、今回もどんどん読んでいきましょう。前回は完全に立ち直ったメロスの姿が描かれていました。そこでいままで寝かせておいた疑問が再度浮上してきます…ということもお伝えしました。では、どんな疑問だったのでしょうか。確認しておきましょう。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか


再度浮上してきます…とお伝えした疑問は二つ目の疑問の方ですね。あとは、約束の時間に間に合うようにひたすら走るだけ…という状況です。

それでは、本文を読んでいきましょう。いつものように、積極的に、疑問をもって、二度ほど音読してください。

 路行く人を押しのけ、跳《は》ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴《け》とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯《さ》っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方《かた》をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」

(太宰治『走れメロス』より)

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 路行く人を押しのけ、跳《は》ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴《け》とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。

ただひたすら、全速力で町へと向かうメロスの姿が描かれています。

ただ速いだけではありません。ものをよけようともしないのです。その姿は、一人か大勢かの差はあれど、男塾名物、直進行軍をほうふつとさせますね(笑)。「犬を蹴とばし」というのはおそらく<結果として>なんでしょうね。道の隅にいる野良犬をわざわざ蹴飛ばしに行ったというわけではないでしょう(ボクは小さいころ、わざわざ蹴飛ばしに行ったのだと思い込んでいました)

一団の旅人と颯《さ》っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。

さぁ、出てきました。マイナスイメージのことば。そこで生じる疑問。

不吉な会話とは、一体なんなのか。

プラスとマイナスを交互にたたみかけることで、ピンと張りつめた緊張感を描いています。

「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」

これが不吉な会話の内容ですね。では、

あの男とは一体誰のことでしょうか?

…そうですね。セリヌンティウスのことです。ただ、これは事実ではないですよね。「おそらくこうだろう」という推測を小耳にはさんだということです。まだ希望はあります。

ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。急げ、メロス。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。

やはりこのあたりのプラス、マイナスのたたみかけはすばらしいですね。ことばのリズムもさることながら、より緊張感を持たせています。

風態なんかは、どうでもいい。メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。

プラスとマイナスのことばをたたみかけたら、こんどはその合わせ技です。人が懸命になっているさまは、引いてみるとおかしいものです。当事者にとっては悲劇であっても、まわりからみると喜劇であるということはいくらでもありますね。

見える。はるか向うに小さく、シラクスの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。
「ああ、メロス様。」うめくような声が、風と共に聞えた。
「誰だ。」メロスは走りながら尋ねた。
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」その若い石工も、メロスの後について走りながら叫んだ。「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方《かた》をお助けになることは出来ません。
「いや、まだ陽は沈まぬ。

ここでもプラスとマイナスをたたみかけていますね。

シラクスの町が見えた弟子が「もう無駄だ」と言ってきたまだ陽は沈んでない

さぁ、ここで浮かぶ疑問。

陽が沈む前にセリヌンティウスは処刑されてしまったのではないか

町での「不吉な会話」、弟子であるフィロストラトスの発言からこんな疑問がわいてくるのが当然でしょう。また、王の側が約束をやぶって、少しばかり早く処刑をするということもありえます。

さぁ、この疑問に対する答えは、続きで確認しましょう。それでは、今までの疑問を確認しておきます。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために約束の刻限までに戻ってこれるのか
陽が沈む前にセリヌンティウスは処刑されてしまったのではないか


最後にいつものように、復習として音読を二度ほどしてください。


名優による『走れメロス』の朗読を聴きたければ⇒こちらへどうぞ。
2012.07.03 18:05 | [中学国語の名作を読む]走れメロス<読編> | トラックバック(-) | コメント(0) |
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