中学国語の名作を読む 走れメロス<読編>11

高校入試、中学校での日々の学習など、国語が苦手な人のために、「これだけは」という問題を紹介。受験対策や定期試験対策に活用して下さい。

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さぁ、今回も続きを読んでいきましょう。まずは、前回までの疑問の積み残しをば。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために戻ってこれるのか


ということでしたね。かなり以前からずっと積み残しの疑問です。
すぐれたまんが作品なんかは、読者がこうした疑問を忘れたころに回答します。
「伏線の回収」と呼ばれるものですね。
では、今回も、積極的に、疑問を持って、予測しながら二回しっかりと音読しましょう。

メロスは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」
 花嫁は、夢見心地で首肯《うなず》いた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」
 花婿は揉《も》み手して、てれていた。メロスは笑って村人たちにも会釈《えしゃく》して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。(太宰治『走れメロス』より)



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メロスは、一生このままここにいたい、と思った。


おいおい。

あと五分寝よう…いや、あと十分…もう五分寝よう。だって、昨日けっこう頑張ったもんオレ…zzzというやつです。経験ありますよね。

この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願った、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。


接続助詞「が」は「逆接」のはたらきをもっています。逆接は大丈夫でしょうか? 中学国語の名作を読む 走れメロス<読編>01で説明しました。再度、確認しておきましょう。

逆接の接続詞のあとには…
 1)予想とちがうことが来る
 2)重要なこと、言いたいことが来る


ということでしたね。
ここでなぜ、逆接を強調したのかというと、「ままならぬ事である」の意味がわからなかったとしても予想をしてもらいたかったからです。要するに、

この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願った不可能だ


という内容になります、ことばを豊富に知らなかったとしても、ことばの「はたらき」に注目することで、おおよその内容を知ることができます。そうした方法も知っておいてください。

メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。


お。とうとう! というところですね。
メロスは、だらしない生活をしているボクとは違うようです。

あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。


寝るつもりかよ!

とここでも突っ込んでいきましょう。さぁ、ここで疑問が…

ホントに寝るの?

その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。



やっぱり寝るのかよ!
…ホントに寝るの?

眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。


「とりあえず一眠りしてから…」
のあと、どういう結果が待っているかは、予想がつきませんか?
予想してみてください。

ただし、メロスは「邪悪には人一倍敏感な」「正義の士」です。
われわれのような、しょうもない人間とは全くちがうはずです。

私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」


ほら。自分で言うんだから間違いない。
メロスは、「邪悪には人一倍敏感な」「人を疑わない、ウソが嫌いな」「正義の士」です。

…ただ、眠くってしかたがないのでしょうか。

たぶん偉い男


と少々弱気です。「謙虚さ」がなせるわざととっても良いのでしょうが、これまでの流れを考えると眠くってしょうがなくって飛び出たことばとする方が…。

 花嫁は、夢見心地で首肯《うなず》いた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互さまさ。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけだ。他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、メロスの弟になったことを誇ってくれ。」
 花婿は揉《も》み手して、てれていた。


眠い、眠りたい、一眠りする…なんてことを言ってはいますが、
ここの会話というのは、

メロスが、妹とその婿との最後の会話

ですよね。にもかかわらず、自分が死ぬということを一言も口にしません。幸せいっぱいの新郎新婦を不安にさせたり、悲しませたりは決してしたくなかったのでしょう。ボクごときにはとてもマネできません。

メロスは笑って村人たちにも会釈《えしゃく》して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。


やっぱり寝るのかよ!

…ということで、実は『走れメロス』の中でこのシーンがいちばん好きなシーンだったりします。まぁ、このあとにも好きなシーンはあるんですが。さぁ、最後に積み残しの疑問を確認しましょう。復習としての音読を忘れずに。

王が、人を信じられなくなったきっかけは何なのか
メロスは、セリヌンティウスのために戻ってこれるのか




名優による『走れメロス』の朗読を聴きたければ⇒こちらへどうぞ。
2012.05.10 05:55 | [中学国語の名作を読む]走れメロス<読編> | トラックバック(-) | コメント(2) |
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疑問の答えは何ですか?

2012.11.15 18:45 URL | #- [ 編集 ]

> 疑問の答えは何ですか?

ご訪問ありがとうございます。
走れメロスの読編は、疑問をもちながら読んでいくスタイルで書いています。
その場で解決できる疑問はその場で解決し、そうでないものは次回に持ち越し…というスタイルです。読み進めていただくと、疑問の答えが出てくるような構成にしてあります。

が、それでは答えにはならないと思いますので、

一つ目の疑問の答えは24で、
二つ目の疑問の答えは22で解決されます。

右のカテゴリにあります、

[中学国語の名作を読む]
はじめに/まとめ

をクリックしていただくと目次が出てきます。
それぞれの問題番号へのリンクがありますので、そちらをご参照ください。

今後ともよろしくお願いいたします。

2012.11.16 00:39 URL | 名も無き国語講師 #- [ 編集 ]













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